信学会東堀保育園(2018)岡谷市

竣工時の現場から    
  
玄関ポーチはゆったりと深くとって、お迎えの待機スペースになっています。
ポーチに面する窓からはギャラリー通路を見ることができ、子供たちの作品を外からでも伺うことができます。
以上児クラスの廊下を見通すこともでき、お迎え時に子供たちの様子を感じられるようにしています。



  
玄関ホールは高さのある空間でお迎えをします。
正面の右にはデンと呼ばれる子供の隠れ家スペースがあります。
上に上って玄関ホールを見下ろしたり、下にもぐって絵本を読んだりできる子供の居場所になっています。
オレンジ色の壁は黒板塗装。チョークで字を書いたりマグネットを付けたりして
子供も大人も使えるコミュニケーションスペースとしています。




玄関ホールの高窓には岡谷市出身の童画作家、武井武雄の童画を基にしたステンドグラスが取り付けられています。
東面にあるステンドグラスは、ちょうど登園のころ朝日に照らされて、カラフルな光の影を玄関ホールに落としながら園児を迎えます。



 
遊戯室は隣のランチルームとひとつながりの空間になり、向こうには園舎のシンボルともなっている「神の木」が鎮座します。
遊戯室のステージから神の木テラスまでは約30mの長さの空間になり、
廊下面にも比較的開放性の高い開口部を設けて、広がりのある空間としています。



遊戯室の壁には桜の花を模したレリーフを設置しています。
既存の園舎の桜の木の切り株を使い、園児たちがひとつひとつ色付けをしたものを設置しました。
大切な思い出と記憶が新しい園舎に刻まれました。


 
遊戯室とランチルームの境は引き戸とカーテンで間仕切りができるようになっています。
開放時はすべて壁の中に納まるようになっています。
ランチルームは地域子育て支援相談室や会議室としても利用します。様々なシーンに合わせて照明の色を変えられるような器具を選定しています。
一般的にも蛍光灯の色(昼光色)よりも電球色(白熱灯)の色の方が太陽光に近く、色を忠実に再現して見せてくれます。
特に食欲を駆り立てる赤が鮮やかに見えます。
照明器具によって食育や情操教育の面で役立つことを試みています。
正面のワゴン収納の脇には子供のサイズに合わせた連絡窓が設けられ、子供と調理員さんの距離を縮めます。




ランチルームの隣、神の木の脇に設けられた「神の木テラス」。
ランチルームの折れ戸を開放すると一体的な空間として使えます。




まだ建設前の敷地の中にあった、新緑のころの神の木の様子です。
計画前に、「この木の下でランチを食べたらきっとおいしいだろうな」と思ったところから設計が始まりました。
新緑のころにはたくさんの葉が覆い茂り、森のような風景を見せてくれることと思います。
秋には落ち葉を使って焼き芋大会をやるそうです。


  
神の木テラスの北側には「食育デッキ」と名付けた階段スペースを設けました。
ここに上ると子供たちが調理室の中を一望できます。テラスの中の遊び場でもあり、調理室の中を見ることができる特別席でもあります。
園庭の脇には畑も設けました。自分たちで作った野菜がどんなふうに調理されるのか、楽しみながら見ることができます。


  
保育室は一部に移動間仕切りを設置して、園児数や利用形態に応じて柔軟に可変できるようにしました。
北側に高窓が設けられ、柔らかい光と気持ちの良い通風を確保しています。
天井には吸音性の高い材料を採用しました。音が無駄に響かないと大声を上げることが少なくなる傾向があり、
音環境を整えると聴覚・情緒にも良い影響を与えるとの報告もあり、配慮した設計としています。


 
廊下の各部は家形の流し台を埋め込んで、それぞれにアクセントカラーを付けています。
各エリアの目印にしてそれぞれに楽しい場所の特徴を出しています。
廊下は広めに確保して、突き当りには大きめの開口部を設けて抜けを作っています。
特に以上児廊下の駐車場に面する部分はお迎えのお母さんからも見通せる開口部になっていて、
園での活動の様子を垣間見ることができます。


 
園児用のトイレも場所ごとにテーマカラーをまとっています。
未満児トイレはイナズマ型のライニングです。閉塞的な感じを少なくすることとサポートのしやすさを配慮した形です。



未満児エリアの外観です。前面に未満児用のテラスを設置しています。
園庭側からの登園の時、軒下を通ってそれぞれの保育室に向かいます。



職員室の北側と保育室の間のスペースは夏の仮設プール設置スペースになっています。
両側の外壁に日除けを設置するための金具が設置されています。



園庭側からの外観です。右側には畑が設けられています。その脇には雨水排水を利用した散水設備を設置しました。
園庭に向かって超指向性スピーカーを採用しました。近隣への騒音に配慮したものですが、
スピーカーそのものの性能が非常に高いため、園庭とは思えないクリアな音を実現しています。
運動会が楽しみです。
園庭には築山を設けました。いろんな遊具を検討しましたが、シンプルなのにいろんな遊びを誘発しそうです。