岡谷教会は古くからの住宅地の中を抜ける街道沿いに建てられた。 敷地周辺の古くからの土蔵や木造建築の中で、礼拝室を内包する切り妻屋根を近隣の風景に溶け込む色合いとしながらも、 エントランス部分を明るく地域に開く外観とした。 奥に向かってL字型に折れ曲がる敷地は、街道に面した手前に会堂を設け、奥に駐車場をレイアウト。 街道に向かって開いた形でエントランスポーチを設けた。 2階に礼拝室を設け、その下に多目的室、平屋部分に牧師住宅を配している。 牧師住宅は狭い空間ながら必要な機能を凝縮したプランとなっている。 玄関ホールはバリアフリーとし、限られたスペースの中で、時として多くの人数を受け入れていくための履き替え動作の工夫をした。 礼拝室を2階に設けるため、棺の動線を考慮した階段を考え、狭いスペースで効率的な動線とするため、曲面の壁面になっている。 2階のホールからは富士山の見える、街道に開いた開口部があり、気持ちの良い空間となっている。 礼拝室を包む切り妻屋根の外観は周囲に馴染む緩やかな勾配としながらも、内部空間は神聖で峻厳な雰囲気とする勾配の強い天井を組み込んだ。 正面講壇は側面より柔らかな自然光が入り、講壇を間接光で際立たせる。 日常的に聖書を読むための十分な照度を確保しながら、時として神聖な心持ちで礼拝、祈祷が行えるよう 様々なパターンの光環境を作れるよう間接照明と直接照明の組み合わせを検討して盛り込んだ。 音楽とともに活動する機会の多い礼拝室は、話す声が明瞭に聞こえるとともに適度な残響が必要とされた。 ラインアレイスピーカーを採用し、一部に吸音する材料を配置するなどしてバランスの良い音の環境を作っている。 狭隘な敷地、厳しい予算など難しい条件の山積する中で、教会員の方々との話し合いを積み重ねて合意形成を図った。 教会員の方々の並々ならぬ情熱に支えられて、気持ちの良い形を導き出すことができたと考えている。 |
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