所長コラム  正博の彫り出しもの(木彫)アラカルト     
其の八続編・卯と兎
    4月20日の信濃毎日新聞の文化欄に、
清泉女学院大教授の玉城司氏が「蕪村信州に関心」というコラムを掲載していた。

信州にちなむ蕪村の句を紹介している。

『宮城野の萩更科のそばにいづれ』
『鬼すだく戸隠のふもとそばの花』
『さつき雨田毎の闇となりにけり』
『浅間山煙の中の若葉哉』


さらに、諏訪湖にちなんで
『名月や兎の渡る諏訪のうみ』 が紹介され、
「諏訪湖の御神渡りの伝承をふまえて、月に住むという兎が渡って行く姿を幻視した作。
童心に帰って心を遊ばせたのだろう」と解説されている。

月が諏訪湖に映って、時間とともに月が動いてゆくと、月の兎が諏訪湖を渡ってゆく様だ。
建御名方命が、御神渡りで渡ることを考えながらうたっている。

なかなか昔の人は、情感豊かだなあと思った。



                (信濃毎日新聞 4月20日掲載)
 
                                      (2011年6月3日)