所長コラム  正博の彫り出しもの(木彫)アラカルト     
其の拾壱・牛、寝牛
   
私は1月5日、丑年の生まれですが、本来は節分前ですので、前年の子年としてみるそうです。
旧暦で考える習慣がなくなって、だんたんと運勢とか年回りもあいまいになりつつあります。
(旧暦といえば昔は13カ月のうるう年があって、13カ月給料を払うのが大変で明治政府は新暦に変えたとか・・・)


「牛の子の 旅にたつ也 あきの雨」 一茶
「さとのこよ 梅おりのこせ 牛の鞭」 芭蕉
「此梅に 牛も初音と 鳴つべし」 芭蕉

牛は昔も今も身近な存在で、生活の中にとりこまれていることがわかります。


アラカルト其の九で紹介した石川雲蝶の作品にも牛がたくさんあります。
赤牛(三条市・本成寺)、寝牛(三条市・要住院)、寝牛(三条市・内山家)など。
  
 新潟の寺などに所在する雲蝶作品。左から赤牛(本成寺)、寝牛(要住院)、寝牛(内山家)
         新潟日報事業社発行『越後の名匠 石川雲蝶』(木原 尚)より引用



また、永林寺には翡翠(ひすい)の寝牛と蛙があって、寺発行のパンフレットに紹介されています。


平成21年は丑年で、私に2人目の孫が生まれました。
何か記念に牛の彫り物がないかと思っていたら、
立川義清(冨尚=湘蘭の息子、1886-1959)の寝牛がやってきました。
牛の背中のゴザに特徴があって、存在感、迫力十分である。
寝ている牛の方が置物としての安定感があり、立っていると4本の足できちんと据えるのが難しい。

  
  冨尚の寝牛(H120mm W310mm L180mm)       上から見るとまた迫力が・・・

          
   裏に彫られた銘   彫刻の入った桐箱(H180mm W380mm L233mm)



続いて、立川の流れをくむ辰野町の中村竹男の牡牛を紹介します。
洗練された滑らかな肌合いに特徴がある。
台と一木で彫られていて安定している。


            
           中村竹男の牡牛(H200mm W280mm L110mm)


 
 彫刻の入った桐箱        箱の扉裏には「昭和五十四年十二月 竹男作」とある
(H266mm W340mm L160mm)


塩尻の牛伏寺は、起源が弘法大師と牛にちなんでいて、大きい牛のブロンズが鎮座している。



孫は女の子なので、こんなモーレツな牛が気に入ってくれるか、少々疑問があって迷っている。


                
              おまけ 牛の中国切手(1985)

 
                                         (2011年5月20日)