片羽保育園(2008-07)諏訪市

設計余談

 
風見鶏

片羽保育園の時計塔の頂部に設置されている風見鶏。
設計段階で一旦は不要として中止されました。
あまり必要のないものは付けられないとの理由で。

 

 (設計検討の際になんとなく風見鶏が描かれていた)


その時は「時計塔の上には何かシンボル的なモチーフがほしい」
といった程度の気持ちだったので、
ちょっと残念ぐらいにしか思いませんでした。

しかし、直接の市担当の方と計画を進めていく中で、直感的に物足りないものを感じて、
やっぱり風見鶏つけられないかなあ、といった話が出るようになりました。

それで、風見鶏の由来を調べてみることに。

一般的には「風向計」としての意味ではないかと思っていました。
また、言葉としては「八方美人」のような意味で、あまり良い印象ではありませんでした。

西洋では雄鶏の警戒心が強く、鳴き声が夜明けを連想させることから
「魔除け」の意味でつけることが多いようです。

  
(画像はウィキペディアからの転載、園舎についているものとは異なります)


また、昭和52年にはNHKの連続テレビ小説で
「風見鶏」というタイトルのものがあり、
主人公が風見鶏のように風に向かって強く生きていくという
モチーフとして使われていたようです。

コブクロの「風見鶏」という歌の歌詞も、
(自分)に向かってまっすぐに強く生きて生きたいという思いが込められているものでした。

そんなことを調べていると、
「やっぱりこの園舎に風見鶏を付けたい」と思うようになりました。

子どもたちが風見鶏のように風に向かって元気に成長して欲しい。

そんな思いが通じたのか、
結果として風見鶏は復活して設置されることとなりました。


一つのことでもその由来と意味があり、
それを知ることで、設計に込める思いも変わってくるものだと感じました。

設計に思いを込める。
それは、必ず形となって現れると確信しています。